作業標準書(目的・内容・種類・体系例)

「作業標準書」について説明します。
作業標準書とは
「作業標準書」には、作業の手順と作業をおこなう上でにポイントとなる事柄、使うべき工具などがわかりやすく記載されています。
手順書ですね。
主に、初心者への教育に使用します。
標準化とは
でも、「作業標準書」を作成する為には、「工程」などで、作業が「標準化」されている必要があります。
「作業標準書」を理解する前に、まず「標準化」を理解する必要があります。
「標準化」について説明します。
「標準化」について、「JIS」には次のように定義しています。
「実在の問題または、おこる可能性のある問題に関して、与えられた状況において最適な秩序を得ることを目的として、共通にかつ繰り返して使用するための記述事項を確率する活動」
です。
「標準化」とは、
製品・サービスの品質・質をばらつきがなく一定レベル以上にする方法です。
標準化の目的
「標準化」は、製品やプロセスを統一または単純化し、製品やサービスの品質の改善、生産、使用の合理化や取引の公正化を図っています。
「標準化」には次のような目的があります。
- 互換性のある製品を作ることができます。
- 個人の判断が入るのを少なくすることができます。
全体の効率も上がります。 - 品質上、押さえるべき個所を明確にすることができます。
品質に影響する品質特性、管理水準を明確にしてバラツキを少なくすることができます。 - 改善が容易になります。
人によってやり方が異なると原因追究が難しくなります。
「標準化」をおこない、「QC工程表」(QC工程図)や「作業標準書」を作成します。
作業標準書の目的
「作業標準書」には、次のような目的があります。
- 作業者による作業方法のバラツキを少なくします。
- 改善の結果、最も良い方法として定めています。
- 新入社員の教育訓練として使用します。
- ノウハウの蓄積として定めています。
などです。
作業標準書の内容
「作業標準書」は、特に決まった帳票はありません。
一般的には、次のような内容を入れた方がよいと思います。
- 適用範囲
- 作業目的
- 使用する材料、部品、情報
- 使用する設備、機器、システム
- 作業者の職務、職位
- 管理者の職務、職位
- 作業を担当する人が持つべき資格・技能
- 作業時期、作業場所
- 作業の手順、やり方
- 品質規格/品質特性、その計測方法
- 品質、安全上で注意すべき事項
- 異常時の処置
などです。
企業の作業標準書の種類
「作業標準書」は、手順書、やり方ですが、企業では、間接部門もありますので、広い意味でも使用されています。
「作業標準書」は、上位のレベルから下位のレベルまであります。
「作業標準書」には次のようにいろいろな種類があります。
一例です。
- 規程
- 規則
- 規定
- 規格
- 要領
- 指示書
- 作業標準書
などです。
企業によって異なりますが、一般的な繋がりの例です。
基本的大綱 | 基本的大綱の 具体的な展開 |
具体的な作業 | |
---|---|---|---|
一般規則 | XX規則 | XX細則 | XX手続、要領 |
管理規定 | XX規定 | XX細則 | XX手続 |
技術規格 | XX規定 | XX細則 | |
技術標準 | XX細則 | XX手続、XX標準 |
それぞれの内容の概要です。
- 規定
部署の機能についての取り決めを規定します。
主管部門、関連部門、体系、日常管理、会議体、職務分掌を規定します。 - 規則
規定を受けて、内容の規則を定めます。
異常と異常処理を定義します。 - 細則
実際の作業についての詳細を定義します。 - 要領
治歳の作業のやり方について説明します。
作業標準書のようなものです。
企業の作業標準書の体系例
企業の「作業標準書」の体系の例です。
企業によって異なっていますが、一般的な例について説明します。
1.機能や内容別の体系例
「機能や内容別」の社内標準の例です。
機能・内容 | 標準例 |
---|---|
(1) 総括的な標準 | 社内標準管理規定、品質管理規定 |
(2)設計・製品関係の標準 | 製品規格、設計標準、図面管理規定 |
(3)製造関係の標準 | 製造技術標準、作業標準、作業指導票 |
(4)試験・検査関係の標準 | 検査規格、検査業務規定 |
(5)資材関係の標準 | 原材料規格、部品規格、購買管理規定、外注管理規定 |
(6)設備関係の標準 | 設備管理規定、計測器管理規定 |
(7)保管・運搬関係の標準 | 包装規格、倉庫管理規定、運搬管理規定 |
(8)苦情処理関係の標準 | 苦情処理規定 |
(9)安全・衛生関係の標準 | 安全管理規定、衛生管理規定、公害防止規定 |
2.業務と技術別の体系例
「業務」と「技術」に分けた時の社内標準の例です。
内容 | 区分 | 標準例 |
---|---|---|
1.企業の一般的な規則 | - | 定款、就業規則、組織協定、職務分掌規定、職務権限規定、会議規定 |
2.業務標準 | (1)総括 | 品質管理規定、標準管理規定、苦情処理規定 |
(2)人事 | 教育訓練規定、資格認定規定 | |
(3)経理 | 出張旅費規定 | |
(4)営業 | 販売管理規定、顧客情報管理規定 | |
(5)資材 | 購買業務規定、外注管理規定 | |
(6)技術 | 研究管理規定、製品開発規定、設計管理規定 | |
(7)製造 | 生産管理規定、不良品処理規定 | |
(8)設備 | 設備管理規定 | |
(9)倉庫・運搬 | 倉庫管理規定 | |
(10)検査 | 検査業務規定 | |
3.技術標準 | (1)設計・製品 | 製品規格、図面、設計標準、製図方式、図面様式 |
(2)材料 | 材料規格 | |
(3)部品 | 部品規格 | |
(4)治工具・副資材 | 治工具規定、副資材規定 | |
(5)設備 | 設備保全基準 | |
(6)製造 | 製造技術標準、作業標準、QC工程表、作業指導票 | |
(7)試験・検査 | 検査規格、試験標準 | |
(8)倉庫・運搬 | 包装規格、包装材料規格 |
参考にしてください。
●「標準化」の関連ページです。
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